試験を利用して自分を鍛えよう 2004.5.17 No.41

<中間試験の勉強で脳を鍛える>
・ この校長だよりは、昨年から読んでくださっている方はご存じのように、校長室で印刷したものを配布し、ホームページに掲載し、月曜日朝の校長室朝の会でお話ししています。定期試験の週は、朝の会に来てくださる生徒の皆さんの、試験にプラスになればいいと考えて書いて来ています。今週は中間試験が始まります。
・ 定期試験は、授業で学んだことをしっかり身につけようとか、できるだけいい点数をとろうとか、それぞれの皆さんが自分なりの思いで取り組んでいると思います。試験勉強を利用して「脳を鍛えよう」と意識してみるのも、プラスになると思います。
・ 新しいことを覚えたり、これまで解けなかった問題が解けるようになったり、自分が理解したことをわかりやすく書けるようになったり、どれも脳が鍛えられて新しい力を発揮できるようになってできることです。脳を鍛えているという意識を積極的に持つことで、覚えたり、解いたり、書いたりする力が、身に付きやすくなるような気がします。

<中間試験の勉強で友人を増やす>
・ 試験勉強は、自分一人での工夫と努力が大切なのはもちろんですが、友人と一緒にやると能率的な部分もあります。人によって得意不得意がありますから、うまく教えあうことが出来ると、お互いに勉強になります。教わって学ぶだけでなく、教えることによって勉強した内容がすごく身に付きます
・ 試験の際は、教わった内容のうち、どの辺が重要で試験に出そうだとか、どんな問題が出そうだとか、予想することが有効です。このような予想も、自分一人でするのではなく、友人と一緒にやると、自分の考えていなかったことに気が付いたり、予想に自信をもったりできます。
・ それから、試験の時は、いろいろ不安になることもあります。自分だけが勉強が遅れているのではないだろうかとか、やっている勉強の仕方でいいのだろうかとか。それらも、友人と話していると、不安が解消されたり、弱まったりすることがあると思います。試験勉強を通じて友人を増やすぐらいの気持ちで取り組んでみてはどうでしょうか。

<試験勉強を利用して集中力を鍛える>
・ 私は高校生の時に、試験で良い点を取るために勉強するのがおかしいように思うようになって、途中からあまり試験勉強をしませんでした。勉強は普段から自分の力を付けるためにやるべきで、試験の時に点数のために特別に勉強することに疑問をもったわけです。ところが、そう思ったのは若気の至りでした。
・ 人がいろいろな力をつけていくのに、継続的に努力をしていくのも大切なのですが、緩急をつけて時々特別な努力を集中的にすることも大切です。勉強については自分で緩急をつけるのは難しいので、ぜひ定期試験を利用して、集中して勉強して学力を伸ばし、また集中力そのものを鍛えてほしいと思います。

試験で実力を出し切るために 2004.5.24 No.42

<実力を出し切るためのヒント>
・ 本号の発行日は、中間試験の最終日なので、前号に引き続き、試験を受ける生徒の役に立ちたいと思って書きます。さすがに試験当日なので、校長室朝の会には、だれも参加しないかもしれないけれど、参加してくださったことを想定して書きます。
・ 試験の準備が十分出来た人も、少ししか出来なかった人も、自分が持っている実力を最大限に出し切ってほしいと思います。そのために、開始直前の教室でも、試験中でもできることがいろいろあります。実力を出し切るのもテクニックの側面がありますので、すぐにうまくできなくても、自分で心がけて工夫していくと、だんだんと実力を出し切れるようになると思います。
・ 試験直前の教室では、気持ちを落ち着けて、かつ適度にテンションを上げるのが有効です。落ち着くためには、私は、イスに深く座って肩や腕を少し揺すって筋肉に緊張がないのを確認し、ゆっくり深く深呼吸をします。この時、特にゆっくりと息を吐く時、気持ちが落ち着いてきます。テンションを適度に上げるためには、挑戦する気持ちや実力を出し切るという気持ちに、意識を少し振り向けていきます。

<記憶を思い出すためのヒント>
・ 試験が始まると、覚えたことを次々に思い出して、問題に答えていかなければなりません。順調に答えられるところは、思い出すなどということを意識せずに、答えが書けます。うまく思い出せないところは、どうしたらいいでしょうか。
・ 人が記憶したことを呼び戻す方法はいろいろありますから、試験中でもいろいろな方法で記憶を呼び戻そうとしてみると、思い出す可能性が高まります。ただ、時間が限られていますので、能率良く記憶を呼び戻すいろいろな方法を試す必要があります。
・ 一度思い出そうとしたら、思い出せなくてもすぐにはあきらめずに、少し集中して思い出そうとします。それに関する内容をいつ勉強していたかをまず思い出して、その時の状況や教科書やノートをイメージすると、内容を思い出すことがあります。その部分を説明していた先生のイメージと一緒に思い出すこともあります。一緒に覚えたこと、その前に覚えたことを思い出して見るのも、有効なことがあります。しばらく考えても思い出せなかったら、一度別の問題に移ってから、また後で思い出す作業をしてみます。

<限られた時間を有効に活用するためのヒント>
・ 試験時間は限られていますから、その時間を有効に活用できれば、実力を出し切ったという結果につながります。そのためには、むだに時間を使わない必要があります。難しすぎる問題、自分には歯が立たない問題には、時間を使いすぎないようにします。とはいっても、みんなができないと採点者は、何とか点を与えようとしますので、できるだけ解答欄は文字で埋めます。うっかりミスは誰にでもあるので、見直しの時間がとれるように時間配分することも大切です。

引き継ぐことと新たな工夫 2004.5.31 No.43

<行事での上級生と下級生の交流>
・ 今週の火、水、木は、クラスマッチ(クラス対抗のスポーツ大会と体育祭を合わせた行事)です。新入学や進級から2ヶ月ほどたったところでのこの3日間の行事は、9月の記念祭(文化祭)と並ぶ本校最大の行事で、クラスマッチを機会に逞しくなっていく生徒が多いので喜んでいます。逞しくなっていく最大の要因は、上級生と下級生の交流にあると思います。
・ 中間試験が終わった後は、朝も昼も放課後も、校庭のあちこちで応援合戦の練習が行われています。クラス対抗のコンテスト形式で、クラスマッチ最注目の種目なので、どのクラスも力が入っています。この応援合戦が、1、2、3年を縦断したチームで行われるので、上級生と下級生の交流が特に盛んです。
・ 3年生が指揮を執り、様々な趣向を凝らした創作ダンス中心の応援の出し物を作り上げていきます。毎日の練習を見ていると最初はとまどっていた1年生が、だんだんとうち解け、上級生と一体となって一つの作品に仕上げていく過程は、校長室の窓からも毎日見ることができて、とても楽しみです。

<行事運営での上級生と下級生の交流>
・ 応援合戦ほど私の目に直接見えるわけではありませんが、クラスマッチの運営に参加している皆さんもきっと、上級生と下級生が協力して準備を進めているはずです。ここでも1年生はまだ、上級生に指示され、また様子を見ながら仕事を進めている人がほとんどだと思います。上級生の取り仕切りに、すごいなと感じている人もいると思います。
・ 行事運営では、下級生の担当者も学年やクラスに帰れば、自分が指示したり協力を求めたりする役になります。直接運営に参加しない人も、そのような同級生を通して、上級生の運営を見習うことになります。またクラスマッチ当日は、上級生が運営する様子を直接見る機会も多いと思います。せっかく行事に参加するのですから、直接運営の役員・委員を務めない生徒の皆さんも、ぜひ運営の様子をしっかり見ておいてほしいと思います。

<上級生から引き継ぐことと新しい工夫と>
・ 大人になって仕事をするようになると、何かを企画し、多くの人と協力してそれを実行し、他の人の役に立つということが、やらなければならないことの中心です。それらのことは、学校で行事を運営するのと、とてもよく似ていると思いませんか。もちろん、学校行事は、そのように将来必要な力を付けるためばかりでなく、学校生活を楽しくするためにも欠かせないものです。
・ クラスマッチなどの行事では、ぜひできるだけ上級生と下級生の交流を大事にし、リーダーシップの取り方を含むいろいろな経験を積んでほしいと思います。そして、上級生からたくさんのことを引き継ぐとともに、自分で新しい工夫を加え、下級生に伝えていってくれることを願っています。

ゆっくり歩くことで見える世界 2004.6.7 No.44

<ゆっくり歩くことで見える景色>
・ 先週のクラスマッチ(クラス対抗のスポーツ大会と体育祭を合わせた行事)の部対抗リレーに、教員チームも2チーム参加しました。私はアンカーを務めたのですが、バトンを受け取った直後に転んで、ゴールにはたどり着きましたが、膝を痛めてしまいました。痛みがしばらく続いているので、普通に歩くことができなくて、右膝をかばいながらゆっくり歩いています。
・ クラスマッチの翌日、朝の町を、いつもの時間、いつもの場所を歩いていると、いつもと違う景色が見えるのに気が付きました。膝をかばいながら、いつもの半分ぐらいのスピードで歩いていたのですが、前ばかり見ているとあまり景色が変わらなくて退屈なので、ついつい横にも目がいきます。
・ すると、店先の前のプランターに植えられている小さな草花や、交差する道の先の公園に緑が広がる木々を発見して、少しうれしくなりました。今まで気が付かなかった店もあって、毎日同じところを通っているのになあと、不思議な気持ちがします。店の人と客のやりとりも、店先をゆっくり移動しているうちに、何となく聞き取れ、人々の営みを感じます。

<そこにあることと見えて認識することの違い>
・ 私は視力が良く好奇心もまあまあある方なので、考え事をしているとき以外は、きょろきょろ周りを見ながら歩いています。ただし、普段はかなり早く歩く方なので、安全のために、ほとんど自分の進行方向の周りだけをみていることになります。
・ それが今回、膝を痛めてゆっくり歩かざるを得ないことで、思わずいつもは見ないたくさんの方向を見ることができました。それで、いつも通っている街なのに、いろいろ新しく見つけることができたわけです。新しく見つけたといっても、それらはずっとそこにあったわけで、私の状況が違ったことがそれを発見させたわけです。
・ そして、こんなことも考えました。その街をたくさんの人が行き交っていて、そこにあるものは同じなのだけれど、人によって見えているものはずいぶん違うのだろうなと。さらに、例え同じものを見ても、そこで感じることは、人によってもっと大きく違うのだろうなと。

<災いを少しでもポジティブに生かす>
・ ゆっくり歩くことで街の様子が良く見えたので、これからは膝が治ってもゆっくり歩くことにしようとは思いません。早く治ってまた速く歩きたいのですが、膝を痛めてゆっくり歩かざるを得ない間は、ゆっくり歩くことでいいことがあれば、せいぜい利用してみようというところです。
・ 週末に膝の治療に病院へ行ったら、少しでも膝への負担を少なくするようにと、松葉杖を渡されてしまいました。松葉杖がないと歩けないほどではないのですが、これも、松葉杖で歩くことで初めて経験できることがあると思って、使ってみています。

双方向に参加型の授業を増やしたい 2004.6.14 No.45

<授業で質問をすることの大切さ>
・ 今週の水曜日(6月16日)は、附属高校で授業をします。大学の先生による連続授業の第1回目で、大学の授業と高校までの授業に違いについて私の考えを述べ、真理の探究の重要性について話そうと思います。
・ 先週の土曜日(6月12日)には都立大学で、高校生60人弱に来ていただいて、生物学の体験授業を3時間行いました。この体験授業は9月まで9日間続くもので、最後まで受講した人の中から、7人の定員で一般入試を受けずに首都大学東京の生命科学コースに入学できる「ゼミナール入試」も兼ねているので、参加者はとても熱心に授業に取り組んでくれました。
・ その体験授業では、大学で生物学科の学生に対して行っている授業を、ほとんどそのまま行いました。その授業は、受講生の質問に答えることだけで進めます。そのような方法で授業を進めるのは、質問をすることが授業内容に関する理解を深め、考える力を付け、問題を解決する力を付けるのに、とても大切だからです。

<質問とそれへの答えだけで構成する授業の進め方>
・ 受講生の質問に答えることだけで進める授業というのはイメージしにくいかもしれません。新しいことを習うのですから、教師の方からまず何か話さなければ、意味のある質問ができないと考えるのが普通です。ところが、教師がまず内容を話してしまうと、それでわかった気がして、または、それをわかろうとするのに精一杯で、なかなか質問が出ないことがわかりました。
・ それで、その日扱うテーマについて、数十個の質問を書いたプリントを渡します。まず、そのプリントを5分間ぐらい見て考えていただいて、その質問の中から、またはその質問の周辺のことで、自分が質問したいことをいくつか用意していただきます。
・ その後、受講生の質問に答えることで授業を進めます。1.5時間の1回の授業で、30人ぐらいの質問に答えると、予定した内容をほとんど話すことができます。自分や同級生がした質問に答える話を聞くことで、強く関心を持って話を聞くことができ、どんな問題に対する話なのかもしっかり理解することができます。

<附属高校での双方向的な授業>
・ 昨年から附属高校の校長になって、すべてのクラスの授業、すべての先生の授業を見学させていただきました。ほとんどの授業で、先生が生徒に質問して答えることや、生徒からの質問や発言が、かなり活発に行われていることがわかりました。私が大学で行ってきた授業の方法とも共通する部分があってうれしくなりました。受け身型の授業ではなく、参加型の授業で、授業内容がしっかり身に付くと思うからです。
・ 今年度の附属高校の学校経営計画では、そのような「双方向的な」授業の要素をもっと増やそうということを目標の一つにしています。生徒の皆さんにも、先生からの質問には間違ってもいいから大きな声でしっかり答え、自分からもよくわからないことや、もっと知りたいことをどんどん質問してほしいと思います。

授業では自分が聞きたいことを聞いて学ぼう 2004.6.21 No.46

<授業で何を聞きたいかを考えること>
・ 前号の校長だよりにも書きましたが、先週の水曜日に、附属高校で授業をしました。大学の先生による連続授業の第1回目で、大学の授業と高校までの授業との違いや真理の探究の重要性について話しました。今年は十分な時間を用意していただいたので、それに加えて、大学で使っている授業のプリントを2種類用意して、その中から出席者が聞きたいところがあれば、話そうと思って授業に望みました。
・ 授業を始める直前に、3人の生徒が私のところに来て、「今日はどんな話をするのですか」と尋ねました。そのうちの2人は、内容によって出席するかどうか決めたいようなところが感じられたので、「どんな話を聞きたいの」と尋ねると、ちょっと考えて「戦争の話とか」と答えました。私は生物学が専門なのですが、とっさに生物と関係した戦争の話ができそうな気がして、「わかった戦争の話をしよう」と答えました。
・ もう一人の生徒は、私の専門を知っていたのか配ったプリントをちょっとすでに見ていたのか、「光合成の話」と答えたので、こちらは自信を持ってその話をすることにしました。

<聞きたいことを聞くことと授業への集中>
・ 「戦争」の話を、昔読んだことがあるチンパンジーのグループ間の戦いから始めて、原始的なヒトの部族間の戦いから現代の戦争まで、動物行動学的な面からの共通点をお話ししました。また、現代の戦争の特徴を取り上げ、戦争に対して人類がどう対処していったらいいか個人的な考えを述べました。それらの話の合間に、DNAの解析により、チンパンジーとヒトがいつ頃分かれたかや、ヒトがいつごろアフリカから世界中に広がっていったかがわかってきた話をしました。
・ これらの話を、生徒の皆さんがとても熱心に聞いてくださいました。今まで私がした多くの授業の中でも、一番熱心に聞いてくださった授業のひとつでした。その理由は、受講生の中からの聞きたいというリクエストにストレートに答えた話ができたからだと思います。
・ 光合成についても、プリントの中にあった「光とは何か」について聞きたいというリクエストがあったので、ほとんどその話で終わってしまいましたが、とても面白かったという感想をたくさんいただきました。

<どんな授業でも自分が聞きたいことを意識しよう>
・ どんな授業を受けようとするときでも、自分はその授業で何を聞きたいのか、何を学びたいのかを、いつでも考えるようになると、授業の時間が自分にとってとても充実したものになるような気がします。
・ 高校の普通の教科科目の場合は、勉強することが決まっていて、何を聞きたいかを考えてみてもしかたがないように感じるかもしれませんが、決してそんなことはありません。聞きたいこと学びたいことを先生に言っておけば、いつか取り上げて下さると思います。生徒の興味があることとの関係で話せば学ぶ効果がぐっと高まることを、先生は知っていますから。

多くの科目を学ぶ意味 2004.6.28 No.47

<なぜ多くの教科、科目を勉強する必要があるのか>
・ 今週の金曜日、7月2日から期末試験が始まります。たくさんの教科、科目を勉強するのに、少しうんざりという人もいると思います。自分の得意な科目はいいのだけれど、不得意な科目や好きでない科目を、どうして勉強しなくてはいけないのか、疑問に思う時もあるかもしれません。
・ 小学校の勉強や中学校の勉強については、全員が勉強しておいたほうがいいということを、かなり納得しやすいと思います。一般的な社会生活を営むのに必要な知識や技能がありますし、どんな仕事をするにしろ、知っておいた方がいいこと、出来た方がいいことがあります。いわゆる「読み書きそろばん」がそうですし、理科や社会の基礎的知識、初歩的な保健体育、家庭科、芸術もそうです。英語は人によってはなぜと思うかもしれませんが、多くの人が一生のうちには外国旅行をする時代ですから、これも納得できると思います。
・ ところが、高校での勉強となると、かなり高度な内容を含むようになりますから、それぞれの科目を直接には必要としない職業につくことを決めている人にとっては、なぞその教科、科目を勉強する必要があるのか、大いに疑問を感じることもあるでしょう。

<いろいろな科目を勉強して鍛えられる脳>
・ どんな仕事に付くにしろ、仕事以外の家庭生活、社会生活を営んで行くにしろ、人生にはいろいろな問題が生じ、それらの問題を解決していかなければなりません。与えられた問題ばかりでなく、自分から問題を探したり作ったりすることも必要になります。人生を豊かに楽しくするためにも、自分からいろいろな経験を求めていくこともきっとあるでしょう。
・ とはいっても、高校で勉強しているようなたくさんの知識や技能を直接みんなが使うようになるというわけではありません。例えば、数学の微分や積分は、学校を卒業した後は使わない人がほとんどです。二次方程式を解くということも、仕事や社会生活で使うということは、まずありません。
・ しかし、微分や積分の考え方や技法は、独特のもので、他のことを勉強する時とは異なる脳の使い方をします。二次方程式を解くということもそうです。理科や社会のそれぞれの科目も、その科目独特の知識の体系があり、自然や社会を理解するための独特の考え方や問題解決の方法があります。いろいろな科目や単元を勉強するということは、いろいろな方法で脳を鍛えることになります。将来直接には使わない知識や方法であっても、そうして鍛えられた脳は、どんなことにでも活用できます。

<鍛えれば鍛えるほど性能が向上する脳>
・ ヒトの脳は、鍛えれば鍛えるほど性能が向上するように出来ています。自分が好きな科目だけの同じようなパターンの勉強では、伸び悩みがちです。いろいろな科目のいろいろなパターンの勉強で脳を鍛えておくと、得意な科目の力を伸ばすのにも有効です。

粘り強さで力を出し切る 2004.7.5 No.48

<粘り強くなろう>
・ 期末試験の最中の月曜日です。土日を使って十分勉強が出来た人、思うように出来なかった人、それぞれだと思います。いつもは授業開始のチャイムがなってもしばらくざわついていることが多い教室も、試験の時はチャイムと同時にシーンと静かになるのが、校長室にいてもわかります。それぞれの科目で理解したこと覚えたことを、しっかり解答しようと集中しているのがわかります。
・ 自分が解けそうな問題の量が多いときは、時間ぎりぎりまで集中して解答し続けることになります。そういう時は、残り時間が少なくなってもあせらずに、自分のペースを守って解答し続けるしかありません。しかし、問題を解き続けながら終了のチャイムを聞くことは、それほど多くないのではないかと思います。
・ むしろ、まだ試験時間は残っているのに、自信を持って解けそうな問題は解き終わってしまって解けそうもない問題が残っていたり、一応全部解答したけれど、自信のない部分があったりすることのほうが多いと思います。そこからが粘りの見せ所です。もうだめだと諦めない心、このぐらいでいいやと思わない心を持って、時間終了まで努力することが大切です。

<油断せずに力を出し切ること>
・ 粘り強くなるためには、自分の実力を十分出し切ることをまず考えるといいと思います。解答できたと思ったところでも、うっかりミスやちょっとした考え違いで間違ったという経験は、誰でも持っていると思います。
・ 一応解けそうなところは解けて時間があまっていたら、まず、解答したところに間違いがないかどうかを、チェックすることが効率的だと思います。問題文の読み間違えや、解答欄の外を使って解いた解答の転記ミスなどは、落ち着いて見直せば気が付くことが多いはずです。一緒に覚えたことの勘違いや、わかっているのにそれが読む人にわかるように書けていないところなども、そのつもりで見直せば、気が付くと思います。
・ 自分がすでにもっている力を出し切るためには、ある程度時間に余裕がある必要があります。そのためには、解答のスピードをあげる練習が有効でしょう。

<本番で実力以上の力を出してみよう>
・ これまでの校長だよりでも何度か書いてきましたが、人は実力以上の力を、ふと出せてしまうことがあります。ですから、試験でもうわからなくて無理だと思っても、時間のある限り粘り強く考え、粘り強く解答欄を埋めていくことが必要です
・ いつもと違うように考えてみるためには、例えば問題から目を離して天井を見ながら考えてみるとか、頭の中の混沌とした状態をそのまま紙に書いてみるとかを私はしたことがあります。
・ 途中まででもいいから解答欄を埋めること、正解ではなくても近そうなことを書くこと、なども粘り強く続けると、実力以上の結果にきっと繋がるでしょう。

日周リズムを整えて健康に生活する 2004.7.12 No.49

<日周リズムと健康>
・ 一学期もあと一週間余りで終わり、夏休みとなります。夏休みをどう過ごすか、楽しみに考えている人も多いことでしょう。ぜひ、普段の学期中にはできないことに、思いっきり取り組んでみてください。時間の管理も自分ですることになりますので、ヒトの身体の「日周リズムと健康」について、お話ししてみます。
・ ほ乳類には夜行性の動物と、昼行性の動物がいます。原始的なサルは夜行性が多いのですが、進化に伴って昼行性のサルが多くなり、ヒトを含む類人猿はすべて昼行性です。ヒトは、ヒトに進化する以前のいろいろなサルの段階を含め、3千−4千万年前から昼行性の生活を送ってきていると考えられています。ですから、私たちの身体は、昼間に活動し、夜は睡眠をとるという生活にすっかり適応しています。
・ ですから、健康に生活するためには、できるだけ昼行性の生活を心がけるのがいいのです。とは言っても、社会を維持するためには夜間の仕事も大切なので、うまく夜型の生活に身体をならして健康に生活している人もたくさんいます。それでも高校生の皆さんには、昼間に活動する生活を大切にしてほしい、特に長期休業中にはそれに気を付けてほしいと思います。

<毎日できるだけ同じ時間に起床すること>
・ 昼間活動して、夜は睡眠を取るように身体ができているということは、ホルモンなどの働きで一日のリズムに合わせて身体がそう準備されるということです。しかし、実際の活動や生活をそのリズムに合わせておかないと、リズムが弱くなったり崩れたりして、体調が崩れてきます。
・ 身体の日周リズムと、実際の活動リズムを合わせると、健康的な生活がしやすくなります。勉強にしても、その他の活動にしても、能率があがり高い成果があがります。そのためには、朝は早めに起きることと毎日できるだけ同じ時間に起きることが有効です。
・ その他にも、起きたら早めの時間に身体を動かし日光を浴びるといいということになっています。学期中は、通学がこれに相当しますが、休み中は、朝散歩をしたり、朝一番で図書館に通ったりするのが有効です。

<毎日、朝早く起きるための工夫>
・ 多くの人の体内の日周リズムは、一日の24時間より少し長い25時間程度ということが知られています。このことは、少しずつ朝起きるのが遅くなる傾向を持っている人が多いことになります。
・ そのため、毎朝同じ時間に起き、日周リズムを一日24時間に保って、身体の日周リズムに合った健康生活を続けるためには、それなりの工夫が必要です。
・ リズムが少しずつ遅れるのを修正するためには、少しずつなら修正するのが楽ですから、もしかなりの時間寝過ごした日があったら、特に次の日にはいつもの時間に起きてもとに戻すといいでしょう。それから、朝に強い光を浴びることが有効だとされていますので、目が覚めかけたら部屋をできるだけ明るくしましょう。

予定通り進まなくても最後までがんばろう 2004.9. 6 No.50

<勉強も行事も部活動もがんばろう>
・ 2学期が始まったばかりですが、今週末の9月11日、12日の土日には、記念祭(文化祭)があります。多くの皆さんが、準備の追い込みに忙しいことと思います。準備がうまく進まなくてあせったり、悩んだりしている人もいるかもしれませんが、何人かで力を合わせればきっとどうにかなりますから、精一杯準備を進めてください。
・ 人によっては、記念祭まであと1週間もないのだから、記念祭の準備だけに集中してがんばりたいと思う人もいるかもしれません。でも、授業もちゃんとありますし、部活動の予定が決められている人もいると思います。ぜひ、授業や部活動の時間はそれに集中し、残りの時間を有効に使って、準備を進めてください。
・ こんなことを書くと、私の高校時代を知っている人からは、笑われているかもしれません。私自身は、文化祭には結構入れ込んでいて、準備の最終週などは、授業をおろそかにしていたこともあるからです。でも、今はそれを少し反省しています。

<準備が予定通り進まないときどうしよう>
・ よっぽど用意周到な人たちは別ですが、記念祭などの行事の準備は、予定通りうまく進まないことは普通によくあることです。私もたくさんそのような経験をしました。その経験から、少し参考になるかもしれないことを書いてみます。
・ 当日までにやらなければいけないことがいろいろあるわけですから、スケジュールは立てていると思います。ただし、予定通りに進まないことも多いので、そのスケジュールを常に見直して、必要に応じて作り直す必要があります。どうしても間に合いそうもなかったら、特に大事なことを選び出して、優先的に進める必要があります。
・ それから、準備の過程で小さな時間があいたら、いつかやらなくてはならないことを、こまめにどんどんやっておくと、後で助かります。直前は、集中力が上がって準備の能率がすごく上がることがありますが、その時に細かくて時間のかからざるを得ない作業が残っていると、大事な最終準備の能率が落ちるからです。

<準備がどうしても間に合わないときどうしよう>
・ いろいろがんばっても、準備がどうしても間に合わないときもたまにはあります。その時は、どうしたらいいでしょうか。まず、手伝ってくれる人がいたら、誰でも頼んで手伝ってもらいましょう。グループ外の友達でも、先生でも、家族でも、とにかく頼める人は総動員を試みていいと思います
・ 予定を大胆に変更することも、必要があれば躊躇せずに進めましょう。予定の全部をうまく準備できそうもないときは、半分を削除して、残りをまとめるということも考えてみてください。劇の途中の一幕を、解説的な朗読ですませるということも可能です。
・ そして、たとえ不十分であっても逃げ出さずに、精一杯の現状を見てもらいましょう。

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