NEW: 若手研究者の短期海外派遣助成:好熱性微生物のエネルギー代謝と酸化還元分野:応募受付中
微生物学・生化学・生理学・生態学・進化学
研究発表,共同研究,研究技法習得等:1週間程度〜3ヵ月程度:30万円程度以内:随時応募受付
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代謝初期進化研究所基金(代表:松浦克美)

様々な高温の微生物群集が発達している中房温泉で,一緒に研究をしませんか

(自宅に用意した小さな研究室に,「代謝初期進化研究所」(Institute for Early Metabolic Evolution) と名前を付けました.)

長野県安曇野市の北アルプス燕岳のふもとの中房温泉は,多くの源泉から多量の温泉が湧出しています.野外にも多くの温泉が流れ,45℃から90℃の温泉水中に様々な微生物群集が安定的に発達しています.

中房温泉では,多くの微生物研究が行われてきており30報を超す論文が発表されています.私も,そのうち14報の共著者になっており,その中で花田智博士が分離したRoseiflexus castenholziiは,古いタイプの光合成細菌と考えられているChloroflexi門に属している一方,紅色光合成細菌に似た光合成器官の性質も持っています.また,西原亜理沙博士が分離した水素を酸化する化学合成細菌は,これまで分離された細菌のなかで一番高い温度で窒素固定をすることが示されました.

中房温泉での高温微生物の研究は,以下のような利点や意義があると考えています.(1)微生物のみが集まった状態の微生物マット(石や砂にシート状に付着している)や微生物ストリーマー(石や砂に付着して流れの中にゆれて漂っている)が安定的に得られる.(2)気温や降雨に関わらず環境が安定しており,自然界ではほとんど得がたい再現性の良いサンプリングや活性測定が可能である.(3)温泉水の流れが安定していてその調整も可能なため,均質で多い量のサンプリングを行うことができる.(4)高温環境のため微生物の種構成が比較的単純である.(5)温度やその他の環境条件に応じて多様な微生物群集が発達している.(6)微生物群集の基本的な構成や相互作用の研究が進んできており微生物相互の共生関係や競争関係を詳しく調べる下地がある.(7)高温から温度が下がるのに従い生物進化の過程をある程度反映していると考えられる多様な微生物群集が発達しており微生物機能の進化や微生物群集の進化の研究が可能である.(8)生物にとって重要なエネルギー,炭素,窒素,酸素,水素,イオウ,鉄の循環やそれらの相互関係の研究をやりやすい環境である.(9)まだ未知の新奇の微生物が分離できる可能性を秘めている.(10)温泉の権利が中房温泉(株)の私有であり会社の了解が得られれば温泉水の一部である微生物を用いた研究を比較的自由に行うことができる.(11)前項の関係で野外実験的な要素を含む研究も可能な場合がある.(12)5月から11月は自動車で自由にアクセスできる.冬期も,片道4-5時間歩けばアクセスできる.(13)温泉や山の自然の中でリラックスして思考や議論を進めることができる.

現在,私が進めている研究テーマは,以下のようなものがあります.(1)温度や酸化還元条件の違いによる中房温泉の微生物群集の多様性の研究.(2)水素,イオウ,窒素,鉄,酸素を介した電子移動系の相互関係の進化に関する研究.(3)化学合成から光合成に至る微生物群集の代謝系の進化の研究.(4)好熱性の化学合成細菌および光合成細菌を含む新しい集積培養系の確立と得られた集積培養系の群集構造解析およびそこからの新種微生物の単離.

これらのテーマ,関連したテーマ,または別の新しいテーマで,一緒に中房温泉で研究をしてみませんか?共同研究でも,私が研究協力をすることのどちらでも結構です.5月から11月はほぼ毎月,冬も車両通行止道路を歩いて2-3回通っています.大学院生やポストドクの場合は,指導者のご了解を得て下さい.少しでもご興味があれば,ぜひこちらのフォームでご連絡下さい.お待ちしています.週1回,東京工業大学の地球生命研究所に通ってShawn McGlynn博士と共同研究を行っていますので,そこで研究する大学院生やポスドクになられれば,密な共同研究をすることもできます.

なお,一般向けの中房温泉の微生物についての解説を,中房温泉のホームページに掲載していただいておりますので,よろしければそちらもご覧下さい.