各回の項目

1.  生物の生育環境の多様性と大分類:アーキア(古細菌),細菌,真核生物
2.  熱水環境の微生物と生物の誕生・進化
3.  現在の陸上の温泉や深海の熱水噴出孔の微生物
4.  酸性・アルカリ性環境と微生物
5.  貧栄養環境と微生物

授業の進め方

・  学生からの質問に対話的に答える形式で,授業を進めます.
・  質問を考えるためのヒントを書いたプリントを毎回用意します.
・  プリントそのままの質問でもいいし,それを読んで自分に思い浮かんだ関連する質問や,あまり関連しない質問でもいいです.
・  なぜその質問をしたいのかや,質問者はどう考えるかを,逆に聞く場合もあります.
・  質問した学生には,成績評価の時に加算点がつく場合があります.(大抵つきます.)

考えて質問するためのヒント

極限環境微生物学 第1回 生物の生育環境の多様性と大分類:アーキア(古細菌),細菌,真核生物

1.生物の生育環境の多様性
・  固体,液体,気体と,生物や細胞の生育環境は,どのような関係にあるか.
・  水があるかないかと,生物や細胞の生育環境は,どのような関係にあるか.
・  pHと,生物や細胞の生育環境は,どのような関係にあるか.
・  温度と,生物や細胞の生育環境は,どのような関係にあるか.
・  塩濃度と,生物や細胞の生育環境は,どのような関係にあるか.
・  必要な栄養素があるかないかと,生物や細胞の生育環境は,どのような関係にあるか.
・  光強度(明るさ)と,生物や細胞の生育環境は,どのような関係にあるか.
・  酸素の有無(好気か嫌気か)と,生物や細胞の生育環境は,どのような関係にあるか.

2.生物の大分類:アーキア(古細菌),細菌,真核生物
・  生物は,何を基準に分類できるか.
・  生物は,何を基準に分類するとよいか.それはなぜか.
・  系統分類とは何か,それは生物の進化とどう関係するか.
・  以前は,生物をどう大きく分けていたか.今は,どう大きく分けるか.
・  ドメイン,界,門,綱,目,科,属,種とは何か.
・  アーキアは,なぜ古細菌と呼ばれなくなったのか.
・  細菌は,なぜ真正細菌と呼ばれなくなったのか.
・  真核生物は,アーキアや細菌と,どういう関係にあるのか.

3.細菌
・  細菌は,どこに生息しているか.どこに多く生息しているか.
・  細菌と,アーキアや真核生物との違いは,どこにあるか.
・  細菌はどうやってエネルギーを得ているか.それは生育環境とどう関係するか.
・  細菌は,生産者か,消費者か,分解者か.いずれでもあるのか.
・  細菌は,どのように環境や生態系の役にたっているか.
・  細菌は,どのように人に役に立っているか.
・  代表的な細菌には,どんな種類があるか.
・  細菌は,どこでどのように進化してきたか.

4.アーキア
・  アーキアは,どこに生息しているか.どこに多く生息しているか.
・  アーキアと,細菌や真核生物との違いは,どこにあるか.
・  アーキアはどうやってエネルギーを得ているか.それは生育環境とどう関係するか.
・  アーキアは,生産者か,消費者か,分解者か.いずれでもあるのか.
・  アーキアは,どのように環境や生態系の役にたっているか.
・  アーキアは,どのように人に役に立っているか.
・  代表的なアーキアには,どんな種類があるか.
・  アーキアは,どこでどのように進化してきたか.

極限環境微生物学 第2回 熱水環境の微生物と生物の誕生・進化

5.生物は,いつどこで,誕生したか
・  地球は,いつ,どのように誕生したか.
・  生命は,いつ,どこで誕生したか.
・  生命が誕生するために,何が必要か.
・  できたばかりの地球は,生命の誕生に適していたか.
・  地球が,どのような環境になれば,生命の誕生に適するようになるか.
・  どんな物質が蓄積することが,生命の誕生に必要となるか.
・  生命の誕生に必要な物質は,どんな場所で蓄積,濃縮しやすいか.
・  エネルギーの供給は生命の誕生に必要か.必要なエネルギーは,どう供給されたか.

6.生命の誕生した環境
・  生命が誕生した頃の温度は,何度ぐらいと考えられているか.
・  生命が誕生した頃の温度は,どのように推定できるか.
・  水は1気圧の時,何度で沸騰するか.2気圧の時,何度で沸騰するか.
・  生命が誕生した頃,地球上の温度はどのように分布していたか.
・  生命が誕生した頃,大気組成はどうなっていたか.酸素濃度は?二酸化炭素濃度は?
・  生命が誕生した頃,海水組成はどうなっていかか.鉄は?ナトリウムイオンは?
・  生命が誕生した頃,地下から何が吹き出していたか.水素は?硫化水素は?
・  生命が誕生した頃,どのようなエネルギーが利用可能になっていたか.

7.現在の生物の共通祖先の生物・細胞
・  最初に誕生した生物と,現在の生物の共通祖先の生物は,どう違うか.どう似ているか.
・  共通祖先の生物は,エネルギーをどのように得ていたか.
・  共通祖先の生物は,どこに生息していたか.
・  共通祖先の生物は,今の生物とどのくらい似ているか.どのくらい違うか.
・  なぜ,共通祖先の生物が誕生した後,生物は爆発的に増え,進化してきたか.
・  生物は地球上だけで誕生したか.他の天体でも誕生したか.
・  他の天体から地球に,生物がやってきた可能性はあるか.
・  他の天体から地球に,生物が誕生するための材料がもたらされた可能性はあるか.

8.共通祖先の細胞からの初期の進化
・  共通祖先の生物は,何度ぐらいの温度で成育していたか.
・  共通祖先の生物は,何を求めて生育場所を確保していたか.
・  共通祖先の生物が繁栄することで,他にどのような生物が生育可能となったか.
・  生物の生産性は,生態系の多様化や,進化による種の多様化に,どう貢献するか.
・  共通祖先の生物が誕生するために,熱水環境は必要であったか.たまたまか.
・  共通祖先の生物が誕生した後,海の温度はどのように下がってきたか.それはなぜか.
・  海の温度が下がってくると,生物は困ったか.あまり困らなかった.
・  海の温度が下がってきたとき,高温のままであった場所があったか.

極限環境微生物学 第3回 現在の陸上の温泉や深海の熱水噴出孔の微生物

9.陸上の温泉と深海の熱水噴出孔
・  温泉と熱水噴出孔は,地球上のどこに分布しているか.特定の場所に,分布しているか.
・  なぜ,地下から熱水が出てくるのか.その,究極の熱源は何か.
・  火山はどこにあるか.熱水の噴出と,火山はどういう関係にあるか.地震はどうか.
・  生命誕生から40億年の間に,地球の温度はどう変わってきたか.地下からの熱水の温度は,どう変わってきたか.
・  全地球凍結が,いつあったか.その時,地球はどんな状態だったか.
・  全地球凍結の時,熱水の噴出はどうなっていたか.それが生命の進化にどう影響したか.
・  日本には,どこに,どんな温泉があるか.温度や泉質は,どのくらい違うか.
・  温泉の温度や泉質は,何によって決まるか.地下の微生物は関与しているか.

10. 高温環境と生物の生存
・  なぜ,それぞれの生物は,一定の範囲の温度で成育しているのか.
・  高温でもタンパク質は変性しないのか.DNAは一本鎖に解離しないのか.
・  生体膜の構造や機能は,温度とどんな関係にあるか.
・  高温で成育していた生物が,だんだんと低温に適応進化していくことは,よくあるか.
・  低温で成育していた生物が,だんだんと高温に適応進化していくことは,よくあるか.
・  成育最高温度と成育最適温度の関係は,一般的にどのくらいか.
・  成育最高温度と生残最高温度の関係は,一般的にどのくらいか.胞子を形成するとどうか.

11. 温度の違いと成育している微生物
・  アーキアの成育最高温度は何度か.細菌は何度か.真核生物は何度か.
・  なぜ,生物の種類によって,成育最高温度が違うのか.
・  発酵細菌,嫌気呼吸細菌,好気呼吸細菌の成育最高温度は,それぞれ何度くらいか.
・  化学合成細菌の成育最高温度は何度か.それは,どんな意味があるか.
・  酸素を発生しない光合成細菌の成育最高温度は何度か.それは,どんな意味があるか.
・  シアノバクテリアの成育最高温度は何度か.それは,どんな意味があるか.
・  真核藻類の生育最高温度は何度か.それは,どんな意味があるか.

12. 長野県・中房温泉での好熱性微生物の研究(東京都立大学グループ)
・  イエローストーンと中房温泉は,高温微生物の研究地としてそれぞれどんな利点があるか.
・  中房温泉の環境条件(温度45℃から90℃,pH 8.5,硫化水素濃度0.3 mmol/L)は,そこの微生物にどう影響しているか.
・  中房温泉の化学合成微生物,酸素を発生しない光合成細菌,シアノバクテリアは,どんな温度に分布しているか.それは,生物の進化とどのような関係にあるか.
・  中房温泉から,どのような地球最古候補の光合成細菌が単離できたか.なぜ,そこからか.
・  中房温泉の微生物群集での水素の発生と消費は,どう発見されたか.どんな意味があるか.
・  中房温泉の微生物群集でのイオウの循環は,どう明らかにされたか.どんな意味があるか.
・  中房温泉の光合成細菌の独立栄養成育は,どう発見されたか.何が難しかったか.
・  中房温泉での窒素固定活性と,窒素固定細菌はどう発見されたか.どんな意義があるか.

極限環境微生物学 第4回 酸性・アルカリ性環境と微生物

13. 酸性・アルカリ性と生物の関係
・  塩酸(HCl)が,生物や人体に良くないのは,H+のためか,Cl−のためか.
・  水酸化ナトリウム(NaOH)が,生物や人体に良くないのは,Na+のためか,OH−のためか.
・  タンパク質の構造や活性は,pHとどのような関係にあるか.
・  なぜ,タンパク質は一定のpHでしか働かないのか.極端なpHでは,変性するのか.
・  どんなpHでも働くタンパク質を作ることは可能か.
・  一定のpHでしか働かないことは,タンパク質の本質と何か関係があるのか.
・  水素結合とは何か.αヘリックス,βシート,立体構造と,どう関係するか.酵素の活性とどう関係するか.
・  どうしたら,タンパク質を酸性でも働くようにできるか.アルカリ性でも働くようにできるか.

14. 酸性・アルカリ性の環境と生物
・  細胞の中は,いつもほぼ中性か,酸性やアルカリ性に偏ることはあるのか.
・  血液や体液の中は,いつもほぼ中性か,酸性やアルカリ性に偏ることはあるのか.
・  細胞や生物の外側は,いつもほぼ中性か,酸性やアルカリ性に偏ることはあるのか.
・  胃の中のpHはどのくらいか,胃の細胞はそれでも大丈夫なのか.
・  レモンはなぜ酸っぱいか.どこが酸っぱいか.酸っぱくてもレモンの細胞は大丈夫なのか.
・  発酵酢を作る細菌は,pHがどこまで生きられるか.そのpHでも,なぜ大丈夫なのか.

15. 弱酸性・弱アルカリ性に適応した生物
・  多くの魚が生息するpHの範囲はどのくらいか.一定数の魚が生息する範囲はどうか.少ない魚が生息する範囲はどうか.まったく生息しない範囲はどうか.
・  多くの植物が成育する土壌のpHの範囲はどのくらいか.一定数の植物が生長する範囲はどうか.少ない植物が生長する範囲はどうか.まったく成長しない範囲はどうか.
・  多くの微生物が成長するpHの範囲はどのくらいか.一定数の微生物が成長する範囲はどうか.少ない微生物が成長する範囲はどうか.まったく成長しない範囲はどうか.
・  微生物にとって,弱酸性や弱アルカリ性で成育することは,何か意味があるか.
・  微生物にとって,自分が環境を弱酸性や弱アルカリ性にすることは,何か意味があるか.
・  発酵は,なぜ多くの場合,環境を弱酸性にしがちなのか.
・  発酵産物を利用する微生物は,なぜ多くの場合,環境を弱アルカリ性にしがちなのか.

16. 強酸性・強アルカリ性に適応した微生物
・  微生物が成育する最低のpH,最高のpHはどのくらいか.
・  極限環境のpHに,微生物はどのように適応しているか.
・  極限環境のpHに適応した微生物は,中性pHの環境でも生きられるか.
・  極限環境のpHに適応した微生物の,細胞内のpHはどのくらいか.
・  極限環境のpHに適応した微生物は,呼吸の時の,化学浸透圧の機構(細胞内外のH+濃度差)でのATP合成に不都合はないのか.
・  極限環境のpHに適応した微生物は,どのように進化してきたのか.

極限環境微生物学 第5回 貧栄養環境と微生物

17. 富栄養の環境と貧栄養の環境
・  富栄養な環境はどこにあるか.貧栄養の環境はどこにあるか.
・  地球上には富栄養な環境が多いか.貧栄養な環境が多いか.
・  地球上の生物は,何によって制限を受けているか.エネルギーか,水か,栄養素か.
・  もともと貧栄養な環境はどこにあるか.生物のために貧栄養になっている環境はどこか.
・  微生物にとって,富栄養な環境はどこか.
・  多くの環境が,微生物にとって貧栄養なのはなぜか.
・  貧栄養すぎて,微生物が成長できない環境はあるのか.
・  貧栄養すぎて,微生物が存在できない環境はあるのか.

18. 不足しがちな元素とその理由
・  水はどこに多いか.どこで不足しがちか.なぜ不足するのか.
・  有機物はどこに多いか.どこで不足しがちか.なぜ不足するのか.
・  窒素はどこに多いか.どこで不足しがちか.なぜ不足するのか.
・  リン酸はどこに多いか. どこで不足しがちか.なぜ不足するのか.
・  カリウムはどこに多いか.どこで不足しがちか.なぜ不足するのか.
・  マグネシウムはどこに多いか.どこで不足しがちか.なぜ不足するのか.
・  カルシウムはどこに多いか.どこで不足しがちか.なぜ不足するのか.
・  鉄はどこに多いか.どこで不足しがちか.なぜ不足するのか.

19. 貧栄養な環境にどう適応して成長するか
・  微生物は貧栄養な環境に適応できるか.どのくらいの貧栄養まで適応できるか.
・  富栄養な環境に比べて,貧栄養では生物間の競争は激しいか,競争はそれほどないか.
・  微生物は,どのくらいゆっくりと成長できるか.早く成長する微生物と何が違うか.
・  微生物は,どのくらい低密度までしか成長できないものがあるか.高密度まで成長できる微生物と何が違うか.
・  有機物が極端に少ない環境で,微生物はどういう戦略で成長するか.
・  窒素化合物が極端に少ない環境で,微生物はどういう戦略で成長するか.
・  リン酸が極端に少ない環境で,微生物はどういる戦略で成長するか.
・  鉄が極端に少ない環境で,微生物はどういう戦略で成長するか.

20. 極端な貧栄養な環境をどう耐え忍ぶか.(=生残するか.)
・  蒸留水,純水,超純水の中に,微生物はいるか.どのくらい,いるか.
・  蒸留水,純水,超純水の中に,なぜ微生物がいるのか.なぜ生きていられるのか.
・  貧栄養な環境で,微生物はどんな戦略で生き残るか.
・  成育に適さない環境を,微生物はどう感知するか.感知した後,何をするか.
・  微生物は,貧栄養環境でどうエネルギー消費を抑えるか.
・  微生物は,貧栄養環境で,どこまで痩せ細ることができるか.
・  好気性光合成細菌(光合成機能を持った呼吸細菌)は,なぜ光合成ができるのか.
・  プロテオロドプシン(ロドプシンに似た光プロトンポンプタンパク質)とは,何か.