中房温泉の微生物についての研究論文や,中房温泉から採集した微生物を使った研究論文の紹介です.私(松浦)が共著になっている論文のみです.題名をクリックすると,論文(一部は概要)を読むことができます.
 温泉水中の微生物の研究を進めるにあたっては,温泉権をもつ中房温泉の百瀬孝仁社長の絶大なご支援・ご協力をいただいております.深く感謝いたします.

  1. Hanada, S., Takaichi, S., Matsuura, K. and Nakamura K. (2002) Roseiflexus castenholzii gen. nov., sp. nov., a thermophilic, filamentous, photosynthetic bacterium which lacks chlorosomes. Int J Syst Evol Microbiol, 52, 187-193 

    紅色光合成細菌と同じような色をした”緑色”糸状性細菌を,初めて純粋に分離培養し,名前を付け性質を報告した論文です.最古の光合成生物に近い性質を保持している可能性が高いと考えられます.花田智さんは大学院時代の1993年頃,同じような細菌の分離を試みたことがありました.その時はうまくいかなかったのですが,その前に Beverly Pierson と Dick Castenholz が純粋に分離はしていないけれど同じような細菌が培養できたことを論文で報告していました.松浦は Castenholz と国際学会で面識があったので,論文で報告された純粋でない細菌培養を送っていただけないかと頼んだら,その培養はもうないけれどイエローストーンに行けばいつでもあるので採集して送ると返事があり,実際に赤い色の多量のサンプルを送ってくださいました.花田さんは単離しようとしましたが,できませんでした.それから約6年後に,中房温泉から紅色の”緑色”糸状性細菌を花田さんが純粋に分離できたのがこの論文です.名前を付けるときに,花田さんが前に親切にサンプルを送ってくれたCastenholzの名前を付けたいとのことでご本人に確認したところ,とても喜んでいただいてこの名前が付きました.

  2. Takaichi, S., Maoka, T., Yamada, M., Matsuura, K., Haikawa, Y. and Hanada, S. (2001) Absence of bacteriochlorophyll c and carotenes and presence of a tertiary methoxygroup in a carotenoid from a thermophilic filamentous photosynthetic bacterium Roseiflexus castenholzii. Plant Cell Physiol. 42, 1355-1362

    Roseiflexus castenholzii に緑色光合成細菌に特徴的なバクテリオクロロフィル c がまったく含まれないこととともに,特徴的なカロチノイドが含まれることを示した論文です.実は,花田智さんはすでに当時の工業技術院に就職して別のプロジェクトを進めていたので,松浦が何回もサンプリングに行って紅色の細菌を自分で分離しようとしていました.その過程で,日本医大の高市眞一さんに,微生物マットを用いてどんな光合成色素が含まれるかの分析をお願いしていました.松浦は純粋培養ができなかったのですが,花田さんに引き継ぐことで純粋培養が得られ,その色素分析をお願いしました.

  3. Yamada, M., Zhang, H., Hanada, S., Nagashima, K.V.P., Shimada, K. and Matsuura, K. (2005) Structural and spectroscopic properties of a reaction center complex from the chlorosome-lacking filamentous anoxygenic phototrophic bacterium Roseiflexus castenholzii. J. Bacteriol. 187, 1702-1709

    緑色細菌型のバクテリオクロロフィル c がない他に,どのような特徴があるかを光合成反応中心複合体とその遺伝子について調べました.光合成タンパク質の性質は緑色糸状細菌 Chloroflexus とほぼ同じでしたが,そのアミノ酸配列は紅色光合成細菌にも少し近いものでした.驚いたのはそのオペロン構造で,ほぼ紅色光合成細菌と同じで,緑色糸状細菌 Chloroflexus とは大きく異なっていました.このことからも,緑色糸状細菌 Chloroflexus よりも最古の光合成生物の性質を保持している可能性が示唆されました.山田光則さんは,当初培養が大変難しかったこの細菌を,何度も大量に培養する中でいろいろ工夫し,培養しやすい条件を見つけました.

  4. Tsukatani, Y., Nakayama, N., Shimada, K., Mino, H., Itoh, S., Matsuura, K., Hanada, S., and Nagashima, K.V.P. (2009) Characterization of a blue-copper protein, auracyanin, of the filamentous anoxygenic phototrophic bacterium Roseiflexus castenholzii. Arch. Biochem. Biophys., 490:57-62

    Roseiflexus castenholzii の光合成反応中心複合体に電子を与えるタンパク質が,植物のプラストシアニンのように銅タンパク質であることを,塚谷祐介さんが明らかにした論文です.そのような銅タンパク質の存在はすでにChloroflexus で知られていましたが,Chloroflexus では2種類に分かれているこのタンパク質が,Roseiflexus では1種類であることを示し,もしかしたらそれもより古い性質と言えるのかもしれません.

  5. Kubo, K., Knittel, K., Amann, R., Fukui, M., Matsuura, K. (2011) Sulfur-metabolizing bacterial populations in microbial mats of the Nakabusa hot spring, Japan. Systematic and Applied Microbiology 34, 293-302

    65℃のChloroflexus aggregans が多く含まれる微生物マットを採集し,実験室で硫化水素の吸収・発生を調べました.酸素があると硫化水素が大きく吸収されマットの表面に存在する化学合成細菌によると考えられました.嫌気状態で光を当てると,それより弱い硫化水素の吸収が見られ,内部のChloroflexus によると考えられました.嫌気状態で暗所におくと,少しの硫化水素の発生がみられ,内部の硫酸還元菌によると考えられました.それぞれの細菌の存在場所とおよその体積比率は,顕微鏡下でのDNAプローブを用いたハイブリダイゼーションで示しています.この研究を行った久保響子さんは,環境微生物学研究室を新たに始めた時から所属して,研究室の実験設備を整えながら多くの実験を進めました.

  6. Otaki, H., Everroad, R.C., Matsuura, K., Haruta, S. (2012) Production and consumption of hydrogen in hot spring microbial mats dominated by a filamentous anoxygenic photosynthetic bacterium. Microbes Environ. 27, 293-299

    65℃のChloroflexus aggregans が多く含まれる微生物マットを採集し,実験室で水素の発生や吸収があることを示しました,硫酸還元菌の阻害剤を使って硫酸還元菌が水素を吸収していることを示し,発酵細菌を分離してその発酵細菌が水素を発生していることを示しました.水素発生に至るエネルギー源,炭素源は,Chloroflexus aggregans が担っていることを光の影響等で強く示唆しました.大滝宏代さんは,本実験として大規模な測定に臨んだときに予備実験で少量出ていた水素が発生せずに困り果てましたが,夜間休日で誰もいない研究室でひとりで考えて,以前春田先生に聞いたことのある阻害剤を試して,水素発生の発見に至りました.この論文は,日本微生物学会2012年度論文賞を受賞しました.その受賞理由(渡邉一哉委員長)の一部を引用します.「さらに,実際の微生物マットを用いた生態学的実験,分子生態学的実験,培養株による微生物学的実験を組み合わせて行われた本研究は,微生物生態学に置いて模範とされるものであり,高く評価される。近年,遺伝子配列に準じて微生物生態学が語られることが多い中,生理学的実験の重要性に改めて気づかされる論文である。」水素と微生物に関する研究をどうしてもやりたいと言って研究室にいらした大滝宏代さんの執念が実を結んだ論文です.

  7. Everroad, R.C., Otaki, H., Matsuura, K., Haruta, S. (2012) Diversification of bacterial community composition along a temperature gradient at a thermal spring. Microbes Environ. 27, 374-381

    75℃から52℃までの様々な温度から微生物マットを採取し,温度に従って微生物の構成や多様性がどのように変化するかを調べた論文です.温度が下がるに従って多様性が増していくことが示されました.その温度領域で,高い温度で含まれる細菌は低い温度でも含まれている一方,温度が下がるに従って新しい細菌種が含まれていました.このことはもしかしたら,初期の地球で温度が下がるに従って微生物の種や機能の多様性が増したことと関係があるかもしれません.Craig Everroadはオレゴン大学でPh.Dを取得した後,都立大学でのポストドクを希望しましたが,私は研究での雇用費用を持っていなかったので,文部科学省補助金による大学院教育改革プログラムの支援を週3日担当しながら,研究を進めました.

  8. Morohoshi, S., Matsuura, K., and Haruta, S. (2015) Secreted protease mediates interspecies interaction and promotes cell aggregation of the photosynthetic bacterium Chloroflexus aggregans. FEMS Microbiology Letters 362:1-5

    Chloroflexus aggregansを主要種とする微生物マット中の種間相互作用について,Bacillus属等の細菌が分泌したプロテアーゼによりC. aggregansの運動性が増し,細胞凝集体の形成が早くなることを示した論文です,この研究は,外因性プロテアーゼが細菌の細胞運動に影響を与えることを示した世界で最初の報告です.また,プロテアーゼによる分解吸収(広義の捕食)からC. aggregansが逃れる方向の運動が見られたことから,微生物界における捕食からの逃避行動の発見ともいえる研究です.諸星聖さんは,巧妙な実験を積み重ねて,これらの新発見をもたらしました.

  9. Fukushima, S.-I., Morohoshi, S., Hanada, S., Matsuura, K., and Haruta, S. (2016) Gliding motility driven by individual cell-surface movements in a multicellular filamentous bacterium Chloroflexus aggregans. FEMS Microbiol Lett 363. DOI:10.1093/femsle/fnw056

    C. aggregansが速い滑走性の運動を示すことは,花田智さんが2002年に報告しています.福島俊一さんは,中房温泉から新たに分離したC. aggregansを用いて,その運動のメカニズムの解明に取り組みました.運動の方向が反転するまでの時間と細胞フィラメントの長さの解析,細胞表面に付着させたガラスビーズの動きの解析,シミュレーション解析を通して,フィラメントを構成する各細胞は独立して止まろうとしたり方向を逆転させようとすることがわかりました.各細胞の動きは,フィラメントが一時停止したときにのみフィラメント全体の移動方向の反転を決定し,フィラメント全体が一時停止するまでフィラメントは同じ方向の動きを維持します.この研究により,多細胞フィラメントの運動性を適切に説明するメカニズムが提案されました.

  10. Nishihara, A., Haruta, S., McGlynn, S.E., Thiel, V., and Matsuura, K. (2018) Nitrogen fixation in thermophilic chemosynthetic microbial community depending on hydrogen, sulfate, and carbon dioxide. Microbes Environ., 33, 10-18

    高温(72℃〜75℃)の化学合成微生物群集で,世界で初めて窒素固定活性を示した論文です.中程度に高還元的な酸化還元条件が必要なこと,硫酸還元菌の阻害剤で活性が阻害されること,塊状の微生物群集をばらばらにすると活性が失われ水素と二酸化炭素と硫酸イオンを添加すると部分的に回復することが示されました.これらのことから,化学合成細菌を主とする群集構造とある範囲の酸化還元条件が観察された窒素固定に重要なことを示し,生命の初期進化との関わりも指摘されました.半年にわたり活性があったりなかったり再現性がなかなかとれず,西原亜理沙さんは活性が出ない原因として考えうるすべての可能性をつぶすという,途方もなく大変な作業をねばり強く進め,もうやることがほとんど無くなったときに書いてみたメタン発生量に対する窒素固定活性のプロットで解決への光明が差しました.西原さんがこの研究テーマを始めたいきさつやご苦労については,ご本人がこちらの日本微生物生態学会誌に書かれています

  11. Nishihara, A., Thiel, V., Matsuura, K., McGlynn, S.E., Haruta, S. (2018) Phylogenetic diversity of nitrogenase reductase genes and possible nitrogen-fixing bacteria in thermophilic chemosynthetic microbial communities in Nakabusa hot springs. Microbes Environ., 33, 357-365

    西原亜理沙さんの70℃以上の高温の窒素固定に関する2つめの論文です.前の論文で,窒素固定活性とその性質が明らかになったので,誰が窒素固定をしているのかの候補を探すため,微生物群集中のリボゾームRNA遺伝子と窒素固定に関する遺伝子を網羅的に調べました.その結果,様々な系統の窒素固定遺伝子が検出され,これまでの他の研究者の報告に照らしあわせると,窒素固定遺伝子は7つの細菌門に広がっていました.その中でも,化学合成細菌のAquificae 門 (Hydrogenobacter / Thermocrinis) と発酵細菌の Firmicutes 門 (Caldicellulosiruptor) の細菌の窒素固定遺伝子がとても多い割合で検出されました.これら結果は,前の論文で示された硫酸還元菌や水素と二酸化炭素と硫酸イオンの共存と窒素固定活性との関係は,硫酸還元菌が直接窒素固定をしているのではなく,物質循環や酸化還元環境維持を通して微生物群集としての窒素固定活性に寄与している可能性を示唆しました.

  12. Nishihara, A., Matsuura, K., Marcus, T., McGlynn, S.E., Thiel, V., Haruta, S. (2018) Nitrogenase activity in thermophilic chemolithoautotrophic bacteria in the phylum Aquificae isolated under nitrogen-fixing conditions from Nakabusa hot springs. Microbes Environ., 33, 394-401

    西原亜理沙さんのこれまでの3連の高温の化学合成微生物の窒素固定の研究論文の中でも,特に結論が決定的に明確で最重要とも言える論文です.70℃以上で生育する化学合成細菌の窒素固定は生命の初期進化との関係で注目されてきており,その窒素固定遺伝子については多くの論文で存在が示されてきていましたが,窒素固定活性は示されていませんでした.西原さんは,中房温泉の微生物マットから窒素固定をする条件で,化学合成細菌のAquificae 門の細菌の純粋培養を得ました.Hydrogenobacter thermophilus に近縁の細菌が得られて窒素固定能があり,窒素ガス (N2) を唯一の窒素源として成育することを示しました.この報告は,70℃以上の細菌としてもAquificae 門の細菌としても,単離菌による最初の窒素固定の報告でした.(アーキアについては82℃での報告があります.)西原さんのこれら3つの論文は,2018年度 Microbes & Environments (日本微生物生態学会の学術誌)の論文賞候補として「2018 Microbes and Environments論文賞選考委員会推薦優秀論文」とされ学会のホームページで布浦拓郎選考委員のコメントとともに紹介されています.ここに引用させていただきます.「3報合わせて、温泉バイオマットの窒素固定活性測定、窒素固定遺伝子多様性解析、窒素固定水素酸化細菌の単離、と活性測定、培養、分子生態解析という微生物生態学の王道を歩いた作品である。この優れた作品の掲載先としてM&Eを選んでいただいた著者へ感謝します。所々突っ込みどころは残るものの、これまで深く探求されてこなかった高温環境での窒素固定に着目し、見事に完結させたオリジナリティーの高い研究である。特に、始原的な水素/硫黄酸化好熱菌系統群であるAquificaeにおける初めての窒素固定能の証明は、温泉・熱水生態系の理解に留まらず、生命誕生直後の窒素循環に関する考察等へも大きな影響を及ぼすこと期待大である。」

  13. Kawai, S., Nishihara, A., Matsuura, K., Haruta, S. (2019) Hydrogen-dependent autotrophic growth in phototrophic and chemolithotrophic cultures of thermophilic bacteria, Chloroflexus aggregans and Chloroflesus aurantiacus, isolated from Nakabusa hot springs. FEMS microbiology letters, 366, fnz122 2019

    中房温泉の62℃から70℃の温度領域に発達している緑色糸状光合成細菌Chloroflexus aggregans が多く含まれる微生物マットは,現場の状況からは硫化水素をを電子源とする独立栄養光合成をエネルギー源としていることが考えられましたが,研究室の何人もの学生がその培養を試みても,成功していませんでした.河合繁さんは,上記の11, 13の研究で水素を使った活性測定や培養の経験を積んでいた西原亜理沙さんの協力を得て,硫化水素の代わりに水素を電子源とする独立栄養成育に取り組みました.新たに300株のChloroflexus属の細菌を単離し,その中に,水素を電子源として光合成独立栄養でよく成育するChloroflexusを得て,この論文で報告しました.さらにそれらの分離株は,光を当てなくても,水素を電子源,酸素を電子受容体として,化学合成的にも成育することを示しました.同じ細菌が光合成でも化学合成でも成育することは好熱性細菌としては初めての報告で,生命の初期進化での化学合成から光合成への進化を考える上でも,重要な知見が得られたことになります.

  14. Kawai, S., Kamiya, N., Matsuura, K., Haruta, S. (2019) Symbiotic growth of a thermophilic sulfide-oxidizing photoautotroph and an elemental sulfur-disproportionating chemolithoautotroph and cooperative dissimilatory oxidation of sulfide to sulfate. Frontiers in microbiology 10, 11502019

    神谷直毅さんは修士課程の研究で,採集してきた65℃微生物マットでは光依存的に硫化水素が硫酸イオンまで酸化されるのに対し,純粋培養のChloroflexus aggregans はその活性がないことから,微生物マットに存在するイオウ不均化菌(元素状イオウを硫化水素と硫酸イオンに分けることでエネルギーを得る化学合成細菌)がChloroflexusと協働して硫酸イオンまで酸化していることを示唆しました.河合繁さんはその仮説に注目し,巧妙な実験でChloroflexus aggregansが光依存的に硫化水素を元素状イオウまで酸化し,一方イオウ不均化菌が元素状イオウを硫化水素と硫酸イオンにすることで,両者の効率のよい成育が共生的に起こることを証明しました.元素状イオウを実験に用いるともっぱら固体として培養液中に存在するので実験が難しくうまく培養できませんでしたが,河合さんはイオウ不均化菌が元素状イオウだけでなくチオ硫酸の不均化も行うことから,チオ硫酸で始めた共培養系を硫化水素を電子源とする系に途中で移すという巧妙な実験を行って成功しました.この共培養系の発見は,自然界でのイオウ循環の全体像の理解へ向けての重要な貢献です.

  15. 松浦克美,Shawn E. McGlynn,河合繁 (2023) 長野県の中房温泉における微生物のエネルギー代謝と太古代の生物進化 [Matsuura, K., McGlynn, S.E., Kawai, S. (2023) Energy metabolism of microorganisms in Nakabusa hot spring of Nagano Prefecture and the evolution of life in the Archean (in Japanese with English abstract)]

    温泉科学会誌に発表した総説論文です.私は2020年5月から中房温泉での研究を再開しました.再開とは言っても,学生の方中心ではなく自分中心での研究を中房温泉で進めるのは初めてです.40歳ごろから,全ての自分中心の研究はやめていました.自分中心の研究をしながら,似た分野の学生の研究指導をするのはとても難しいからです.近くで自分中心の研究もやっていると,学生がなかなか指導者と研究面で対等になれないからです.私の研究室で多くの学生が博士課程に進学し学位を取得してくれたのは,そのような指導方針の影響もあったと思います.この総説は,2021年に入会した「温泉科学会」の2022年9月の大会で発表した内容について,論文を書かないかと学会誌の内野栄治編集長からお誘いを受けたからです.この学会は様々な分野(分析化学,地球科学,微生物学,温泉医学,温泉掘削,温泉管理,観光等)の方々が参加しているので,できるだけ専門用語を使わずにわかりやすく書きました.ただ,微生物の専門的な立場からの査読がきびしかったので,専門的にも一定のレベルに達した分,難しくもなったかもしれません.今の段階での,中房温泉での微生物とエネルギー代謝の進化についての広い分野の方々向けへの研究のまとめができたと思います.一般向けのぐっとやさしい解説文は,こちらの中房温泉のウェブサイトに「中房温泉の珍しい高温微生物群」として書かせていただきました.